学童期の目の病気 CHILDREN

元気だからこそ増える眼のケガ

学童期になると、視力の発達は落ち着いてくるものの、近視が表れ始めたり、友達と遊んでいる最中でのケガが発生しやすくなります。
学校健診が始まる時期でもあるため、視力の異常には気づくことは出来ますが、眼の傷や異物には気づきづらいこともありますので、乳幼児期同様、お子さんの行動に違和感を覚えたらお早めにご相談ください。

学童期に多い主な眼の病気

外傷

5歳以上のお子さんで度々ご相談を受けるのが、眼の外傷です。軽いケガであれば問題ありませんが、重症の場合だと視力に大きく影響を及ぼす危険性があります。
眼にケガをした場合には落ち着いて、早急にご相談ください。

原因

お子さんの場合転倒しやすいこともあって、大人とは異なる原因で目に外傷を受けることがあります。例えば遊びの最中に転倒した場合は、持っていたおもちゃなどが目に直接あたることも考えられます。その際に白目や黒目を貫いてしまう穿孔性眼外傷にいたる可能性がありますし、精神発育遅延に関連して自傷行為を行ってしまうケースも見られます。また、小さいお子さんだと、起こったことをうまく伝えられない場合もあるので、理由が不明瞭な外傷も少なくありません。
目に異物が入ったときや、突起状のもので目を突いてしまった場合などに、傷が水晶体に及ぶと水晶体が混濁(外傷性白内障)することがあり、水晶体の摘出に及ぶ場合もあります。ほかには、眼球内の網膜や硝子体が損傷した場合などは、硝子体を除去しなければならない、といった事例も起こり得ます。
もちろん、ここまで記載したように重い症例ばかりでなく、強膜や角膜の表面に対するダメージだけなら、点眼薬や目に使用する軟膏で対処できる例も多数あります。
眼球に打撃を受けた際には、網膜出血や網膜のむくみが起こることがありますが、これらの症状は時間と共に解消できる場合が多いです。しかし、打撃が強い場合は、網膜の外部に存在する脈絡膜が損傷して、網膜の機能低下によって視力が落ちたり、視野が狭くなったりする可能性もあります。

ステロイド緑内障

ステロイド緑内障とは、ステロイドホルモンを含有した薬剤をある程度の期間使用したことで房水の流れが滞り、眼圧が上がって起こる緑内障です。薬剤の種類や使用方法、体質によって発症の度合いは変わるので、ステロイド薬は医師の処方に沿ってお使いください。
症状としては原発性開放隅角緑内障と同様ですが、ステロイドの使用をやめることで症状が改善できる例もある点が大きく異なります。ただし、そもそも原発性開放隅角緑内障にもかかっているケースでは、ステロイドをやめても眼圧が下がらないこともあり、この場合は人為的に眼圧を下げる治療を行います。

原因

ひとくちに「ステロイド薬」と言っても、種類は非常に多く存在します。その中で眼圧上昇につながりやすいのは、まぶたに軟膏を塗布する場合や点眼薬を使うケースで、内服薬ではリスクが低いことが知られています。
また、先天的にステロイドによって眼圧が上がりやすい人もいて、この傾向がある人はsteroid responderと呼ばれます。このケースでは1~2週間程度のステロイド点眼薬の使用で眼圧が上がることがあります。
ステロイドは眼科の範囲では、ぶどう膜炎や白内障の手術後に使用することが多いですが、眼科以外でも皮膚疾患などで使われることがあるので、医師の指導や検査・診断を受けながら利用することが必要です。

学校での眼科健診について

視力検査の基準
「A・B・C・D」とは?

学校で行う視力検査は、以前は数値で評価していました。しかし近年はA~Dのアルファベットを使って4段階の評価を行うように変わっています。ご存じない方も多いと思うので、以下に評価基準を記載します。

「A・B・C・D」の内訳

A判定
視力1.0以上に相当
教室の1番後ろの席からでも黒板の文字を楽に読めます。
B判定
視力0.9~0.7に相当
学校生活にはほとんど支障がない見え方です。
C判定
視力0.6~0.3に相当
教室での授業に多少の影響が見られるため何らかの対策を必要とします。
D判定
視力0.2以下
教室の最前列でも黒板の文字が見えにくいために早急な対策が必要です。

「A判定」以外の「B・C・D」判定の場合は眼科を受診してください

学校の視力検査で、B~Dの判定があった場合は、学校から「受診勧告のお知らせ」があります。この場合、何らかの目の疾患に起因する可能性もありますから、ぜひお早めに眼科で検査・診断を受けてください。
近年は幼児期からスマートフォンなどを長時間使用することも増えているため、目にかかる負担は増加しています。そのため、親御さんをはじめとする周囲の大人が目の健康に配慮する必要があります。

A判定だったら大丈夫…というわけでもありません!

例え「A」判定であったとしても、お子さんが以下のような仕草や行動をしている場合は、「視力が悪くなっている途中」の可能性があります。
一度視力が落ちると、改善が難しくなりますので、お子さんの行動に「あれ?」と思ったら、早めの受診をお奨めします。

  • テレビを見る時の距離が近い
  • 顔を傾けてものを見る
  • 目を細めて見ている
  • 両親からの遺伝(両親いずれか近視、遠視、乱視、斜視など)がある場合

当院では近視抑制の治療に力を入れています

学校健診で視力低下がみられ、受診されたお子さんの中には「近視」が進行しているお子さんが増えてきています。
スマホやパソコンが身近にある生活環境下ですので、近年ではお子さんの近視進行が問題視されています。当院では、近視の進行を抑制する治療に力を入れておりますので、学校健診で眼科受診を薦められた場合は、是非一度ご相談ください。

近視抑制治療について
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